限定合理性と二重システム理論
あなたは日常生活の中で頭ではわかっているけれど、
つい別の行動をしてしまうという経験はありませんか?
ダイエット中なのに甘い物をつい食べてしまう、とか
禁煙中なのについタバコを吸ってしまう、とか
起きなければいけない時間なのに二度寝してしまう、とか
シャツを買いに来たのにズボンも一緒に買ってしまう、とか
どなたでも一つや二つ心当たりがあるのではないでしょうか?
このように人間の行動パターンは機械のように決まりきっている
わけではありません。
それは人間は感情によって行動に変化が起きる生き物だからなのです。
経済学では
「儲かるからこうする」
「損をしないようにこうする」
といった
自分に有利なように行動するという基準をもとに
様々な計算をしていきますが、
実際の人の行動はそこまで単純なものではありません。
この
「人間は必ずしも合理性のある行動をとるとは限らない」
という考え方を行動経済学では
「限定合理性」と呼んでいます。
二重システム理論
ではなぜ、人は時に合理的な行動とは異なる
感情に従った行動を取ってしまうのでしょうか?
人間の判断基準・行動基準には
直感的なシステムと分析的なシステムの
2つのシステムを使って情報処理をするという
「二重システム理論」の考え方があります。
- システム1‥‥直感的・感情的・連想的・労力不要・動物にも備わっている
- システム2‥‥分析的・統制的・規則支配的・労力がいる・人間特有
システム2は野球で例えるなら素振りの練習にあたります。
数多くのフォームの訓練を繰り返すことで、動作を確認しながら
基礎となる動きを身につけていきます。
システム1は実際の投球に対して上達によって
多くの動作を無意識・自動的に講じて、
様々なパターンで飛んでくる球に対応することが
できるようになる状態です。
このシステム2からシステム1への移行という流れは
二重システム理論の観点から有用性があると考えられています。
しかし、実際には私たちは日常的にはシステム1によって
直感的な判断で行動してしまうことが圧倒的に多いとされています。
そんなシステム1の判断を制御する働きも
システム2にはあると考えられています。
しかしシステム2が完全に正しい判断を下して
人に正しい行動を起こさせるということでもありません。
人はロボットではありませんから、
常にゆらぎの部分を持ち合わせているということです。
行動経済学はネットビジネスやリアルビジネスにおいて、
消費者心理を研究していく上で非常に重要です。
そんな行動経済学において、このシステム1とシステム2の
二重システム理論はすべてに関連してくる土台となりますので
ぜひ頭に入れておいて下さい。